定番商品よりも挑戦的なサンプル品。
そのときどんなことを考えて、何を体現したくて、作るまでに至ったのか。
既に仕上がった鞄を軸にして思い出してみようという、口数少ない村松による
いつの間にかモノローグ形式の試作レポートスピンオフ企画。
第3弾はこちら、ブリーフケース。
青山本店時代の復刻鞄企画のときに、廃盤になってる
ビジネスバッグを見つけて。
前面のポケットの作りを見て、「何これ!かっこいい!」
3.5mmの厚革、革のハリをいかした前ポケットのボリューム感が
いいねーーー
この前ポケの作りを残して、
他の部分を
自分だったらこう作る
というのを、いろいろ試してるのが今回の2点。
取っ手のつけ方、補強の入れ方、前ベルトにしたり錠前にしてみたり、
前面にファスナーポケットをつけてみたり、
この鞄に関しては最初のイメージがなかった分、
ひとつひとつ、客観的に作りを選びながら作った感じ。
錠前タイプは
鉄芯入りの取っ手に軽めの本体
鉄芯を入れることで出るステッチでかぶせが分断されちゃうから
こっちはかぶせの奥行きを考えて
鉄芯を入れずに取っ手を変えてみた。
差し込み金具タイプは
取っ手違いで本体はファスナーポケット付き
一番のテーマ:今回は前ポケットのマチ以外は
取っ手にしても、前ベルトの仕様にしても、
いろんなやり方があって どれがこの鞄に合ってるか、
選ぶのが難しい。 正直言うと迷っちゃってます。
ちなみに迷うだけあってプロトタイプがいくつかあり、
前ベルト2本タイプはお店に置いてすぐ どなたかの手に渡ったそうです。
どっちか迷ったら、丈夫な方を、作りが簡単な方を、
っていうのがヘルツの基本的な考え方だけど、
例えばどっちも丈夫、作りの難易度もそんなに変わらないなら、
単純に見た目が好きな方を選んでいいんじゃないかな?
そこでどっちを選ぶかにその人らしさが出てくると思う。
細かい部分の場合もあるけど、結局その細かい選択の
積み重ねで鞄ができ上がっているわけで。
たくさんの部分的なその人らしさの塊がうまくできれば、
それはいい意味で個性的な鞄だと思う。
でき上がった鞄を人に見てもらって、「あー、〇〇君らしいよねー」
なんて言われたら、しめたもんだよねー。
続く
岡松
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