カブトムシに憧れて
2015年の5月頃から、それは始まりました。
キッカケは、社員研修で自分が使いたい鞄を作る『旅モノ企画』で新作作りをするアイデア集めでした。
旅モノ2015について詳しく見る
その頃、本店では先輩の作り手:村松が試作を進めていた『エピソード0』という企画がスタートしていました。
エピソード0について詳しく見る
そのブログを見た私は、どうしても現物が見たくなりました。
構造は大まかには理解できるものの、どうしても写真ではわからないニュアンスを確かめたかったのです。
早速、村松に連絡をとりました。すると、まだ店頭販売してなくてバックヤードにいくつかの試作品をまとめているとのこと。
GWも追い風となり、博多から東京のHERZ本店へ直行しました。
そのサンプル群の中には、今は定番品になっている2本手ファスナービジネスバッグ(BW-2)の原型となった鞄や丸大おこし留め2wayボストンバッグ(V-3)の原型となったサンプル品もありました。
もともと、クラシックラインのカブトムシ・2wayショルダーバッグ(A-3)が好きで、これをリュックにできないものかと考えていた時。
いい刺激を受けて出来上がったのが、今回の「カブトムシリュック」1号機というわけです。
しかし、1号機には問題がありました
ファスナーが本体に対してあまり開かない。
本体の容量はA4ファイル4~5冊分の容量があるにも関わらず、ファスナーを全開にしても開閉口の狭さで出し入れがうまくいきませんでした。
これを改善すべく構造を根本的に変えた2号機がこれです。
前面真ん中のファスナーをなくし、本体上部にファスナーを設けてました。
それにより出し入れ問題が解消されました。
2号機の各パーツを見直し、当初の目的であった「社員研修で使う鞄」として完成したカブトムシリュックはこうなりました。
更に仕様を見直した2号機と共に研修へ
カブトムシは一旦完成型を迎えたのでした。
完成した「カブトムシリュック」 新作の管理をしている作り手の村松にお願いしたところ・・・。村松「盛り込みすぎ、一つ一つは面白いアイディアだけどごちゃごちゃしてる。」
カンタンに定番化されるわけありませんね。 新作作りにおいて修正は一度、自己肯定した箇所を否定し再構築していく作業です。 もらった品評は「ここを修正して」という指示ではなく一旦置いてみてはどうか、というものでした。 私自身もなかなか気が乗らず、しばらくカブトムシリュックから離れていました。しかしそこで、面白い企画がやってきたのです!!
A’ダイアログ
HERZのクラシックライン(A品番)をベースに村松が新しい鞄を作る企画。
創業者の近藤と一緒に作っているではありませんか!!
A’ダイアログについて詳しく見る
なんと、その中にはカブトムシ・2wayショルダーバッグ(A-3)の派生モデルも。
カブトムシの魅力である革の張りをしっかり表現しつつ、新しい物作りへの挑戦。
なんてったってシンプルでかっこいい。
自分のカブトムシリュックにどうにか組み込めないか!?
作り手とは気まぐれなもので、寝かせていたリュックへの情熱の火が再度灯りました(笑)。試作品を作っては、検証を繰り返す
それからは、試作品を送っては、村松と検証を繰り返し、だんだんと変貌を遂げていきました。
今までの基本形は変わらずに、各パーツのリファインを行いました。
機能と作りの変更で、今まで付いていた前面の差しポケットを無くし、構造をシンプルに変更。それに伴いゴツい取手も廃止しました。
今まで頑なに譲らなかったこのカブトムシリュックのチャームポイントを手放すことにより残ったアイデアを煮詰め直す良いきっかけになりました。
その結果、カブトムシの象徴であるツノを無くした事により、「カブトムシ」から「カナブン」のようになってしまいました(笑)が、丸く張りのあるシルエットはよく出ました。
ここからさらに改良を加えています。
外縫いであるけども、内縫いのような張りの出るシルエット。
強引に縫い方の名前を付けるなら外縫いの「そ」と内縫いの「ち」でソチ縫い・・・。
他の作り手に怒られそうなので、へたに名前をつけない方が良さそうです(笑)。
作り手:村松による作りの最終チェックも
今まで電話等でやりとりをしながら、試作と検証を重ねてきましたが、最終チェックは一緒に行いました。
村松が最初から最後まで作ってみます。
細かな作りの確認も行います。
縫いの工程。
完成間近。
カブトムシリュックあらため、ビートルリュック
定番になるまで、一年近い期間を要して出来上がったのが、カブトムシリュックあらため、ビートルリュックです。
相棒を背負い、元旦から温泉旅行にも行ってきました
ON、OFF問わず使えるシンプルな外見です。
大人のランドセルといったところでしょうか。
新生活のお供に宜しければどうぞ!
HERZ博多工房 作り手:木村