大ベテランからベテランへ
HERZオンラインショップの小野寺です。今回のPICK UPはある日の工房風景です。上の写真を見てもらえれば分かる通り、日々の製作風景なのですが、この日は珍しくヘルツ代表の近藤(メイン写真:縫っている方)自ら、ベテラン作り手の根津(メイン写真:眺めている方)に鞄作りのアドバイスをしています。
根津が近藤と一緒に作っている鞄は、近藤オリジナルメッセンジャーバッグ(W-3)。近藤らしい、厚い革で無骨で何よりも丈夫。そして遊び心が溢れた鞄。その時にあった最良の革を使い、革に合った作りをする。
近藤鞄は作りもユニーク。豪快に大きなミシンを踏んで革と革を繋げ・包み込んで鞄に仕上げる。これがWシリーズ(近藤オリジナル)の特徴でもあります。
メッセンジャーバッグの特徴でもあるフタ部分の縫い。極厚の革紐を縁に取り付け、これまた極厚な革フタに貼り付けて一緒に縫っていくという工程。 革紐は幅が狭く丸みを帯びているので、とても縫いずらいのですが、さすがはベテラン作り手の根津です。 スイスイとステッチを刻んでゆきます。
HERZの作り手であるということ
通常モデルの鞄や小物はもちろん、今回のWシリーズ、更には限定モデル、また止むを得ず廃盤になってしまったモデルを含めると、ヘルツの鞄は膨大な量になります(ほぼ全ての型紙をストックしていますので、今でも作ることは出来ます)。
ベテランの作り手になればなるほど、様々な鞄を作ることになりますので、より幅広い知識と技術が要求されます。また、作り手である自分達で鞄のデザイン・製作をして、新作として発表をしているので、本当に一つひとつの鞄や小物に物語があるのです。
ヘルツにデザイナーはいません。鞄を作る作り手が自分達の作りたい鞄を常にデザイン・製作しているのです。なので、「いわゆる鞄職人というよりも鞄の作り手」であると私たちは思っています。だから、「ヘルツらしいモノ」が生まれるのでしょう。
普段の製作の中で、何か新しいアイディアが浮かんだ時には積極的に動くようにしています。 例えば、今回の近藤メッセンジャーバッグも根津が一緒に作ったことによって、何か新しい視点が生まれてくることもあります。
自分がデザインした鞄も自分だけが作るのではなく、他の作り手たちが作ることで、 新しいアイディアをカタチにすることが出来るのです。ヘルツではこうした考えを特に大事にしています。
作り手から作り手へ
何かを伝えるということはとても難しいことです。言葉で伝えるにしても、行動で伝えるにしても・・・。
大切なことは、それぞれが熱を持って様々なことに取り組むことだと思います。
ヘルツであれば鞄作りがそれに当たります。
その姿を周りが見て、その人自身で考えて、自分のモノ作りに消化してゆく。
その過程で作り手同士で主張し合って、カタチにしていく。
そこには、ベテランの作り手も新人の作り手も関係ありません。 そして、完成した後にはニッコリスマイル!!とある一日の工房風景でした・・・。
Wシリーズのバッグには特製のタグが付いています。 このタグも代表の近藤デザインによるもの。