およそ1年振りに村松がお披露目したダレスバッグ。
3列に並ぶ番号とつまみという必要な機能のみを備えたこざっぱりとした見た目が、無骨を地でいく錠前が鎮座しています。
今回は、試作というかそれ以前の、村松がこの錠前をイタリアで探し当てた時のお話です。
展示会は色々なものを一度に見られるから面白い。
“ザ・レディースバッグ”みたいなところや、こりゃちょっと手が出ないなっていう高級感あふれるところ…ブースの雰囲気でなんとなく分かる。
その中で、遠目でも「なんかいいな」ってとこがあって。
それは直感…感覚でしかないから…言葉ではうまく言えないんだけど。
ショーケースに近寄ったら
なんか作りが凝ってるし、かっこいいし、見たことない面白いものもあるし、とにかくワクワクする!
作ってるものに、バリエーションがある。
ヘルツに合いそうだなと思って話を聴くと、
「全部、自分のとこで作ってる」
へーすごい!工房、見にいっていいですか?
「時間があるなら見においで」
二つ返事で滞在中、工房を見学できることになった。
行ってみたら、
こじんまりしていて、とってもアットホーム。
本当に真鍮の板から、ひとつひとつ型抜きして、削り出してる。
圧巻だった。
それに、作るためのメカや道具も、自分のとこで開発してる。
組み立てるのも、包むのも手作業。
コンセプトは?って聴いたら
「伝統を守りながら革新的なことをする」
作り方も考え方も、どこか通じるところがあって、すごくいいなと思った。
でも決め手になったのは、
何より、“物”。金具そのものを見た時の…信頼。
「この金具は大丈夫!」っていう感じかな。
それが、工房にお邪魔して裏打ちされた。
金具も自分たちの鞄と同じように人の手が作ってる。
穏やかでにこやかな人たちが。
品質が素材と手間にきちんと見合っていて、むしろお得なくらい。
ヘルツにとっても、ちょうどいい、適正なものだと思った。
そうして、金具(を作った人)からもらったワクワクを、きちんと鞄に収めたのでした。
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