トランクヒストリー3~間所のおはなし~

トランクヒストリー3~間所のおはなし~

トランク(TR-1)の定番化までの歴史を辿ったトランクヒストリー。

前回のおはなしでは増澤と清水の手によって、一度は完成したものの、
錠前が手に入らないなどの事情から、またしても販売ラインナップから消えてしまったトランク。

そんな中、トランクを完成させたいと、また別の作り手が意欲を燃やします。
今回、定番化へとたどりついた作り手:間所のお話。

 

作ってみたいがキッカケであり、モチベーション

時は流れ、当時渋谷にしかなかったヘルツの工房や店舗も、気が付けば大阪、仙台…と増えていき、渋谷工房で働いていた清水も、仙台店へ異動となります。

増澤や清水によって作られた当時のトランクはと言うと、非売品のディスプレイとして、東京のヘルツ本店に残っていました。

本店ディスプレイの昔のトランク

現在もHERZ本店にディスプレイされている、当時清水が制作したトランクたち。

それを見て「かっこいいな」と思った作り手が現れます。
今回、ヘルツのトランクを作り上げた間所です。

間所:
「お店に飾ってある過去のトランクを見て、『かっこいいな』『作りたいな』と思って。」

作り手:間所

「かっこいいものを作りたい。」「凄いと思われそうなものを作りたい。」という気持ちと共に高まる、間所のトランクへの制作意欲。

そこでまずは、清水のトランクのつくり方を教わるところから始めます。

間所:
「つくりに気になるところがあって、錠前も手に入らないから今は作っていないって清水さんから聞いたんだけど、それを打破して定番商品として販売できるように頑張りますからって、仙台店に行ってトランクの作り方を教わったんだ。」

清水と間所のトランク制作研修の様子。

研修時のことを、清水はこう回顧しています。

清水:
「まともにトランクづくりを教えるのは、間所君が初めてだったね。トランクを作るのって、正確であればあるほど良いんだけど、革も何もかも、最初から正確な材料っていうのがないんだ。
なので、作っていくうちにどこかで辻褄を合わせなければいけなくなる。その加減が難しい。だから教えてもできるかな?って半信半疑だったけど、間所君はできたね。」

こうして、トランク作りのノウハウは、清水から間所へ受け継がれます。

 

問題の解決策を探る日々。そして…

その後、間所も定番商品として販売できるようにすべく、完成を目指しトランク制作に取り掛かります。歴代の作り手と同じく、間所も作って試して…の繰り返し。

間所:
「増澤さん、清水さんが作った形がベースにあるから、そのうえで気になるところを大改良して世に出したい。定番商品にしたい。っていう気持ちが強くなった。
だから定番商品として出すための構造やつくり方を考えては、作ってみて失敗して、さらに細かなディティールを修正して…っていう試行錯誤を繰り返したけど、めちゃくちゃ大変だった。」

トランクと作り手:間所

間所:
「あと、不安はあったな。作っていくにつれて、『本当にこれで良いんだろうか?』みたいなね。
だからヘルツのじゃないトランクの中古品を、いろいろ買ってバラしてみたりしたよ。それで、『これでいいんだ!』って答え合わせみたいなこともできたし、いろんなことを知れた。」

トランクと作り手:間所

1本作るのも大変なトランクを、試作で10本以上作ったとのことで、
「トランクづくりで一番大変だったのは、そこ。半端なかった。(笑)」
と、笑う間所。

時には夜遅くまでトランクに向き合う。
そんな風にして少しずつ前進を続け、完成に向けて進んでいく間所のトランク作り。

そしてもうひとつの問題、錠前。安定して手に入るよう、金具屋さんを探す日々。

トランクの錠前

間所:
「錠前は、いろんな業者さんに掛け合ってみたり、HERZに卸してくれている金具屋さんに聞いてみたりしたね。そうこうしているうちに、ヘルツが海外の金具メーカーと取引できるようになってね。そこにカタログ取り寄せてみたら、あったんだ。」

ついに、錠前の仕入れ問題も解決。

そこから一気にトランクづくりが進み、清水が気になっていたという部分も無事解決。
努力が実り、完成した時の気持ちを、間所はこう語ってくれました。

間所:
「錠前も手に入るようにしたし、清水さんから引き継いだ時に気になっていると言われたところは全部解決したから、やった!っていう気持ちが強かったかな。(笑)」

トランクと作り手:間所

間所:
「でも、正直に言うと、まだ『本当にこれで良いのかな?』っていう不安な気持ちはあった。だから増澤さんと清水さんにトランクの完成品を見てもらうって時に、そういう気持ちをいろいろぶつけてみたんだ。
最後は『間所君が色々考えて、その上で納得してできたものなら大丈夫だよ。』と言ってもらえて、おお~って。気持ちが楽になったなあ。」

こうして4名の作り手が繋ぎ続け、ヘルツのトランクが完成しました。

 

トランクに詰まった想い

間所のトランクを見たとき、近藤はこんなことを言っていました。

近藤:
「間所君がトランク作っているっていうのを聞いて、間所君ならやれるかもって思ったな。僕とは違う考え方で、鞄の作りを見れるからね。
今までのトランクには気になるところがあったけど、うまいやり方が思い浮かばなかった。
でも間所君のトランクを見て、『お〜!これでできるじゃん。』って感心した。」

トランクと創業者:近藤

最後に、トランク作りを続けた理由を近藤に尋ねたところ、

近藤:
「色々あったけど、完成させたいって、どこかでずっと引っかかっていたんだろうね。それだけ思い入れがあるからかな。だから今回、やっとヘルツのトランクが出来たっていうのは嬉しいね。」

それと、

近藤:
「このトランクに遊びを加えるというか、さらに他ではできないものを作ってみたりしてもいいかもね。」

とも。

まだまだ、トランクには可能性がありそうです。

トランクと間所と近藤

というわけで、今回完成したトランクには、携わってきた作り手たちの想いがずっしり詰まっています。
なので非常に重いです。(笑)

トランク(TR-1)

実店舗では現物を展示してありますので、お近くに立ち寄った際は、手にとって触れてみてください。

少しでも、作り手たちの想いを感じてもらえたら嬉しいです。

というわけで、以上、定番化までのトランクヒストリーでした。
ですが文中にもあるように、トランクの可能性についてはまだまだありそうなので、また何か動きがあればお伝えしたいなと思います。

トランクヒストリー・・・つづく?

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