ヘルツ博多店作り手の向です。朝晩は少しずつ秋の風が吹いてきていますね。もうすでに毛布にくるまって寝ている方も多いのではないでしょうか。
最近は色んな風邪が流行っていますので、皆様、体調管理にお気を付けください。
今回のテーマは
さてさて今回は、少し難しいかもしれませんが、物を作る上で重要な工程の【漉き(すき)】について話したいと思います。個人的には、ここで物の出来上がりが決まる!と言ってもいいくらいの工程だと考えているので、このテーマにしました。
そもそもなぜ漉くの?
基本的な考え方では、「厚みを減らす」為に漉くというのが理由です。
以下、主な例をご紹介します。
成形しやすくなる
これは玉縫い(パイピング)という手法なんですが、玉と言われる革を挟み込むことで、ふっくらとしたシルエットで柔らかで温かみのある印象を持たせることができます。玉縫いで漉く部分というのが、玉が重なる部分、つまり盤面とマチの端です。
ここを漉きすぎると、玉縫いの良さがなくなり、のっぺりとした印象になります。また逆に、漉きが足りないと、今度は玉が出にくくなり、成形がしづらくなります。玉縫い自体、革の厚さや縫いの深さでも仕上りが変わってくる奥深い手法ですが、漉き加減も重要な要素の一つです。
《玉縫いを使った代表的な鞄》
一本ベルトのクラシックボディバッグ(F-4)の商品ページへ
曲げやすくする
これは外縫いと言われる手法です。HERZの鞄の外縫いは、ラティーゴ(ハードレザー)の革厚約3.5mmを使うものが多いです。その為、マチを盤面に張り合わせて縫うときに、曲げやすくする為に、マチの端の方を漉きます。
これも漉きすぎると縫いやすくなりますが、強度は下がります。逆に漉きが足りないと、丈夫ですが、縫いにくくなります。適度な塩梅が必要です。
《外縫いの代表的な鞄》↓
学生鞄風・2wayビジネスバッグ(BC-16)の商品ページへ
縫いやすくする
これはギャザーという、革を折り重ねてひだを作る手法です。ここの重なる部分を漉くことで、内縫いがしやすくなります。この部分の漉きの範囲が難しく、慣れないと重なる部分より広く漉いてしまうことがあり、注意が必要です。
《ギャザーを使った代表的な鞄》↓
立体ポケットボディバッグ(F-9)の商品ページへ
可動しやすくする
これは前ポケットのフタの可動する部分を漉くことで、より動きやすくなります。
以上が挙げられます。総じて言えば、《漉くことはそれに伴う理由が必要》ということです。
漉く=革の厚みが減る=強度が下がる
なので、物としては欠点となりかねないので、作る物の構造をよく理解し、よく考えた上で漉くことが重要となります。また、“作りやすくなる”というのにも繋がるので、中毒性がある為、作り手自身の注意が必要です。“必要最小限”に“適切な範囲”を漉くということを、作り手は意識しないといけません。この事を始点にして、物を見てみるとまた違った発見があるかもしれませんよ~。
【ヘルツ博多店】
営業時間 12:00~19:00
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