はじめに
皆さんこんにちは! ヘルツ名古屋店 竹中です。
皆さんは革鞄に対して、どのようなイメージを持っていますか?
ヘルツの鞄をいくつかお使いいただいている方は、丈夫さや経年変化、唯一無二のデザインなどヘルツらしさを思い浮かべると思います。
反対にヘルツの鞄の購入をご検討されていたり、革鞄を探し始めた方は、持っていたらおしゃれ、ちょっと良い物、永く使えるといったイメージを思い浮かべると思います。
メリットもあればデメリットもあるのが革鞄。そこで今回は、初めて革鞄を持つ方やヘルツの鞄をご検討されている方に向けて、革の特徴や機能性、エイジング、メンテナンス、メリット・デメリットなどをお伝え出来たらなと思います。
何も鞄を使わずにお伝えしていくのも難しいので、実際に一ヶ月間、2way樽型ミニバッグ(CW-2)を使用して感じたことを中心に書いていこうと思います。CW-2を使うのは初めてなので、ワクワクと不安があります(笑)。
結論から言うと、使用した感想は「機能性はとてもシンプルで、荷物をコンパクトにまとめられるシーンでオススメの鞄」です。以下、詳しくご紹介していきます。
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スペック
始めに鞄のスペックをおさらいしておきます。
使用している革は3.5mm厚のハードレザー。ヘルツでラティーゴと呼ばれている革です。
作りは樽マチ構造(横から見ると樽型に見える)で、型崩れなどが起きにくいガチッとした作りになっています。
【内寸】横幅22×高さ17×マチ8(約/cm)
【重量】約950g(個体差により、多少前後します)
商品ページのサイズ表記は外寸になっているので、この鞄に関しては、入れたいものが入るか心配な時はサイズ表記より約-2cmくらいを目安に考えると良いと思います。
サイズはミニバッグと言われるコンパクトなサイズ感。
少し高さがあるので、ちょっとだけ大きく見えるかもしれませんが、着用してみるとそこまで大きさは感じません。重さに関しては、総革で厚みがある革ということもあり、多少重さは感じます。
鞄のサイズ
【外寸】横幅24×高さ19×マチ10(約/cm)使ってみて感じたメリット
①自己満足感が高い
通勤で毎日使っていますが、同じような鞄を使っている人を見かけることがほぼなかったです。 世間一般的には革製品はちょっと良い物といった認識があると思います。 そういった良い物を自分だけが持っているような感覚は、朝から嬉しい事でもあったかのような気持ちにさせてくれます。 また、出先でも褒められることが何回かありました。 「かっこいいですね」「高級感のある鞄」「良い物を使っているね」等々言っていただけたので、この鞄を選んで良かったなとしみじみ思います。 鞄を褒められることなんて沢山あることではないので、余計に嬉しいです。②肩にも掛けられる2way仕様
この鞄は手持ちだけでなく、商品名にもある通り、2wayタイプになっています。 ショルダーストラップも付属しているので、追加で購入する必要もなく、初めから2wayバッグとして使えます。手で持たなくてもいいので楽に使えますし、出先で荷物が増えてしまった時などは肩に掛けられて良かったと実感しました。③コンパクトなサイズ感が丁度いい
決して大きくないサイズ感が持ち運びしやすく、普段使いでも気にすることなく使えました。 長財布、キーケース、カードケース、ハンカチ、500mlの飲み物。これくらいなら問題なく収納できたので、日常使いにはぴったりですね。使ってみて感じたデメリット
①荷物が多くなるともう一つ鞄が必要
長所と短所は表裏一体。 コンパクトではありますが、荷物が多くなるともう一つ鞄が必要になってきます。 普段、お弁当、単行本、自由帳などを持っているので、通勤鞄として使用した場合、これらすべてを入れることができませんでした。 そのため、別で小さめのトートバッグを持っていました。通勤の際に使用するには、よほど荷物の少ない方でないと難しいかもしれません。②少し重たい
鞄自体の重さが約1,000g。収納物にもよりますが、荷物を入れると2,000gを切るくらいになると思います。 肩掛けの際、重さでストラップが少し食い込むこともあるので、長時間掛け続けていると疲労感はありました。 これは肩当て(Big肩当て(KO-74)、肩当て(KO-75))を装着すればある程度改善できると思います。 このくらいのサイズであれば必要はないだろうと考えていましたが、甘かったです。いる、いらないで言うと僕は絶対いる!派です。③雨の日はちょっと気を使う
これは革なので、仕方ないところですね。 一番気にしていたのはシミがつくこと。なるべく濡らさないようにと思うと天候があまりよくない日は持ち出すのをためらいます。ただ、使っていた色はシミなども分かりにくいブラック。濡れてもあまり気にしていなかったです(笑)。ブラックはもともとの色が濃いので、雨染みなどほとんど目立ちません。 ヘルツの革は濡れてしまうとシミが付きやすいですが、付いても特に問題はありません。革が弱くなったり、そこから破れやすくなるということは考えにくいので、ご安心ください。模様が付くくらいです。僕はシミが気になりますが、反対に気にならない方もいるので、これは使う人や色によってデメリットになったりならなかったりですね。収納例
入れていた物は長財布、カードケース、キーケース、500mlの飲み物、タオル。
これだけ入れば僕にとって普段使いであれば必要十分。飲み物まで入るのはポイントが高いです。横向きにしてピッタリサイズです。
特に夏場の暑い時期に使っていたので、助かりました。
入れると本当にピッタリサイズなので、出し入れするときは一度全て出したり、入れる順番を考えたり多少の工夫は必要でした。
デザイン
前に付いた二本ベルトと金具を介して付けられた取っ手がクラシックな印象を与えてくれます。
前ベルトの裏に隠れている差し金具。
押しながら上にあげると金具が外れます。
閉める時は少しコツがありまして、サルカンと呼ばれる細めの金具を左右からつまみ、それだけを下に下げるイメージで閉めるとカチッとはまります。
ベルトやフタなど、サルカン以外を押しても閉めることはほとんどできません。日常にあふれている金具ではないので、使い初めは慣れないかと思いますが、ファスナーを開けるよりも簡単に開け閉めができます。
後ろには横約19cm、高さ約10cmのベタポケットが付いています。マチ付きではないので、入れられる物もパンフレットなど薄めの物に限られてきます。
使っている中で、これだ!という使い方は見つけられなかったので、使いやすい方法を知っている方がいらっしゃったら是非教えてください!
鞄内部の構造
中の構造はとてもシンプルで内ポケットなどはついていません。
このサイズで色々とポケットを付けてしまうと、かえって荷物が入らなくなってしまうので、何もない方が丁度いいのかもしれません。
小さめのポーチなどを利用して、細かい物はスッキリさせる使い方が合っていると思います。ただ、小物一つでも入れられるポケットがあったらなと思った時はありますが(笑)。
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エイジング
左)新品、右)使用品。
新品と比較すると多少の艶感や光沢は出ていると思いますが、色自体の変化はあまり分かりません。僅かに白っぽさがあったのが、より黒に変化したのかなとは思いますが・・・これもブラックの特徴ですね。
金具を見てみると、最初の光沢よりも落ち着きが出てきて、アンティーク調のような感じになっています。
色のエイジングが感じにくい中、少しでも目に見える変化があるのは嬉しいところです。
取っ手の形もだんだん持ちやすい形に変わっていきました。使っている時は分からなかったのですが、比較すると、使い初めは真っすぐだったのが・・・。
程よくカーブを描いていて、持ちやすく握りやすい形に変わっています。一ヶ月と短い期間でしたが、僕の手に少しずつ馴染んでいるのが見て分かります。
ところどころ傷はどうしてもついてしまいます。
ガシガシ使っても丈夫な革なので、あまり気にしていなかったです。
金具周りはやっぱり多いですね。小傷がいくつかあります。一番触る回数が多いところなので、知らず知らずのうちに付けてしまったのだと思います。
ただ、傷もエイジングのひとつですし、近くで見ないと分かりにくい為、パッと見は綺麗に見えるので、オッケーです。
エイジングについて詳しく見る
メンテナンス方法
ヘルツの革はメンテナンスが必要です。個人的にメンテナンスをする目的としては、下記が思い浮かびます。
・乾燥を防いで、ヒビ割れや破れを防止する。
・長く使い続ける中で解体を伴う修理が起きた場合でも耐えられるような革の状態を維持する。
・シミや汚れの目立ちを軽減して、格好良いエイジングを目指す。
基本的にはラナパーのみでメンテナンスをしていました。使い初めに一度メンテナンスをして、その後は気が向いた時にしかしていなかったです。
再度メンテナンスをした記憶がありますが、詳細な日付はあまり覚えていません。考え過ぎるとかえって面倒臭くなってしまう性格なので、やろうと思った時にしかやらないです。塗り方もラフな感じで塗っていきます。
付属のスポンジにオイルを少量取って、グルグルと塗り広げていきます。何グラムオイルを取って、何回グルグル回してなどの具体的な数字は無いので、ほとんど感覚です。
革の表面が少しベタつく程度に塗っていきます。多過ぎたらベッタベタになりますし、少なすぎると革にオイルが乗らないので、ベタつかないです。
細かいパーツや曲がっているところは、他の所と比べてしっかりと塗ります。こういったところからヒビ割れが起こりやすいので、ちょっとだけ丁寧にやります。
塗りたては光沢が凄く出るので、レベルアップした感じがします。お手入れ直後は光り輝いている鞄を目指します。
半日もすればベタつきも大体は収まっているので、寝る前や仕事から帰ってから頑張って塗るのもありですね。ラナパーのベタつきが気にならなければ、お出かけ直前にしても大丈夫です。
鞄ができるまで
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鞄に使う金具を揃えます。
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曲線の所をカットして・・・。
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パーツに染料を入れて、角を取るように磨いていきます。
縫い合わせていきます。
底鋲を装着します。
マチと本体を組み合わせます。
グルッと一周縫ったら・・・。
完成です
グリーンとチョコの組み合わせは可愛らしいですね。 エイジングも似た色同士に変化していくので、だんだんと落ち着きのある鞄に変わっていきます。 こちらの鞄は今回の特集に合わせて、特別にお作りしました。 このようにセミオーダーで自分のこだわりを詰め込んだ鞄が作れるのもヘルツの特徴です。セミオーダーの内容によっては、ご対応できないものもありますので、ご検討中の方は一度お問い合わせください。誕生秘話
2way樽型ミニバッグ(CW-2)は、名古屋の作り手「袴田」が考案した鞄です。
CW-2が出来たのは、今から11~12年前。その時は定番の鞄をミニサイズにしたら面白いのではないかと一部の作り手の間でブームになっていたそうです。この鞄も例にもれず、たる型2wayショルダーバッグ(A-20)をより普段使いしやすい小さな鞄にアレンジしました。
ただ小さくすればいいというわけではなく、それぞれのパーツのサイズ感の調整やバランス、A-20の雰囲気を残しつつと色々と試行錯誤を重ねたようです。
今ではロングセラーにもなり、A-20のようなクラシックな雰囲気を残しつつ、男女関係なく気軽に使える鞄となりました。
まとめ
一ヶ月使用してみましたが、良い所・悪い所などを色々感じながら楽しく使うことができました。
機能性はとてもシンプルです。荷物をコンパクトにまとめられれば様々な所へ持って行けるので、細かな収納スペースはなくてもいいから小さめな鞄が欲しいという方は候補に入れても良いと思います。
革鞄が初めてという方にも是非使って頂きたいです。
本革製品は使うのが難しいと思っている方もいらっしゃると思います。水に弱かったり、細かなお手入れが必要など考えることは色々ありますが、意外にそうでもなかったりします。
もちろん、キズや汚れ・シミなどを付けずに綺麗に使おうと考えるととても難しいです。メンテナンス用具もラナパー以外を揃えたり、雨の日用の鞄を用意したり。
持ち出した時も常に気を使わないといけなくなります。そうなるとハードルも上がりますし、多分使うことに対して疲れてしまうのではないでしょうか。
僕だったら無理ですね。他の鞄を使います(笑)。
ただ、ヘルツの鞄はキズや汚れ、シミなどが付いたとしてもそれが良い雰囲気のエイジングとなりますし、毎日ガシガシ使っても大丈夫な革を使っています(僕はその点もヘルツの鞄で好きな所です)。
毎日使って、気が向いたときにメンテナンスをすればオッケーです。
そんなに堅く考えず、気楽に楽しく鞄を使っていただけたら嬉しいです。
そうすれば自然とかっこいい鞄に育っていきますよ。それではまた。