「近藤さんの“え、何コレ?”ってとまどってた感じ、ちょっとうれしかったな」
A’-3 二部屋ボストン
これは、現存するクラシックライン(A品番)をベースに村松が新しい鞄を作るという、
創業者:近藤発信、鞄を通じて2人が綴る不定期更新コンテンツです。
今回はA-3がベースだったから思いきり遊んでみよう!って思った。
A-3のフォルムのおもしろさを残して自分なりに使い勝手のいい鞄に
するってだけじゃなんかつまらない気がして。
A-3のように、モノとしての魅力を優先させた考え方、作り方でやってみた。
上下を普通に縫って一部屋のボストンバッグにもできるんだけど、まずは
A-3をそのまま2つ上下にくっつけた、二部屋の鞄を作ってみたくて。
早速、近藤の元へ向かいました。
(乱暴に言うと)A-3を上下に、反転させてくっつけてみました。
う~ん、そうか~~・・・
なぜか言葉を濁す近藤
A-3については、何かエピソードありますか?
いやあ、それが…そんなにないんだよね。
(えっ?? 第二回にして企画倒れかしら)
それから、少し恥ずかしそうに近藤は語り始めました。
あの、旅行用でよくファスナーポーチあるじゃん、こんな形の。
アウトドアのなのかな。
金具で両脇を留めるみたいな、柔らかい素材でさ。
セカンドバッグみたいに持ち運べる取っ手が付いてさ。
とにかくあの形が面白いなと思ったから。でも当時、素材は3.5mm厚しかないから
それで作ったの。ってだけなんだよね。
あ、そうなんですか。
元は柔らかい素材だったんだ…どうりで使いづらいわけだ…
それならあの…これ、取っ手をもう少し長くして握れるようにとかは
考えなかったんですか?
う~ん、、あの頃は、使い勝手が悪いから、とか、機能的に劣ってるからっていう
改良はしなかったな。ただ、見た目が良くない、とか、そういうことでの改良だけ。
それにも理由があって、この鞄に関しては使い勝手をよくしたところで、
ものすごく売れる商品に変わるとはどうしても思えなくて。
それが未だに尾を引いてるんだと思う。
なぜだかだんだん勢いづいてきました…
売れる売れないは、ディテールに関係ない。
それよりも、全体の雰囲気、を大事にした仕様変更をすべきだよ。
あと、こんな作りだけど一度も「持ちにくい」とかクレームがないの。
まあ見てわかるし、そう思う人は他の鞄もあるからそっちを選ぶと思うし。
僕が細かい部分をあんまり気にしすぎてないかもね。
う~ん、それにしてもさ。
これ…やっぱり、もうちょっと使い勝手いいやつにしてよ。
「使い勝手いいやつにしてよ」
A-3を作った近藤さんに、まさかあんなこと言われるとは思わなかったよ。
編集と文:岡松
今回のベースモデル:カブトムシ 2wayショルダーバッグ(A-3)
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