「新しい作りができた!」ていう満足感。しかもこれ、結構画期的だと思う。
A’-3 アラスカで作るファスナーボストン
これは、現存するクラシックライン(A品番)をベースに村松が新しい鞄を作るという、
創業者:近藤発信、鞄を通じて2人が綴る不定期更新コンテンツです。
ナチュラル、ダークブラウン、ブラックの3色で作った現品を、オンラインショップで販売します。
いつも製作のアイデアは流動的で、サイズを変えて数点のA’-3ブリーフケースを
作りながらも、村松は別のことを同時に考えていたようです。
以前作っていた、カブトムシ(A-3)みたいな、革を折って金具で留めてあるボストンバッグを
もう一度作ろうと、いつも頭の隅にあった。
それで、並行してA’-3の試作が進んでいて、このブリーフケースで使ったファスナーの付け方を
ボストンにも応用できるんじゃないか、と思いついたんだ。
“この方法だと、本体に切り込みがなくても…むしろどんな形でも作れちゃうのかも”
結果、革を折り込んで、ムリヤリ縫ってみよう!!っていう実験的な製作をすることに。
まずはスケッチ描いて、っていう段階でイメージ通り!
すごい苦労して仕上がった作りって訳じゃないけど、これ、結構画期的だと思う。
折り畳んだ部分のみの試作をいくつか試してみて、1本目を作ってみる。肩の曲線がちょっと
やりすぎな気がして型紙の形を修正、折り込む幅とかを試しながら2本目、3本目を作ってみる。
この、折り込んだ革の部分が自然な曲線になるよう、とても意識が集中しているようでした。
向かって右が採用された形。
試作を近藤とも確認しながら、候補の革を物色。
この革・・・ぎゅっと詰まってて、折り込む部分がすごくかっこよくなりそうだね!!
表面と分厚さも、豪快の一言だよ。
そして、今回のアラスカでの製作がはじまりました。
以前ベルト用として用意した3.5m/m厚のアラスカ。ともすると鞄には不向きかもしれない
この豪快な革で、作れるだけ作ってみました。
革の厚さは選べなかったし、ロウの特性と革の厚さのせいで作るのに苦労したけど、
なんとか形にできた。
しかも、この革・・・この厚さ、このかたさじゃないと、出せない形になったと思う。
試作する過程では、あまりにもすんなり作業が進んで悩みは全く無いようでしたが、その分、
ひとクセもふたクセもあるこの素材と、十二分に格闘して仕上がった鞄です。
仕上がった時の興奮した様子が印象的でした。
スターレもいいけど、アラスカの迫力はやっぱり違う!
厚みと密度が高いせいで重すぎるっていう問題はあるけど、ぜったいに壊れない丈夫な鞄だよ。
思い返すとA’-3の試作の2個目のボストンで、近藤さんに「金具と革にあるこの空間が気になる」って
言われたんだけど、このボストンには、その気になる空間はない。
結果的にその部分も解消したことになるかな。
のっけから突飛な広がりをみせ、鞄の種類も形もどんどん変わっていきましたが、
かくして、この画期的な革の折り目とファスナーの作りを引っ提げ、カブトムシ(A-3)からの
リデザイン、A’-3シリーズは、課題を超える新しい作りを思いついた満足感とともに
一旦の終着点に辿り着きました。
それぞれ、現品のみでご用意しています。
第一弾:ボストンバッグとブリーフケース(NA3)
第二弾:アラスカのファスナーボストン(NA3H)
※どちらも販売終了しました
編集と文:岡松
今回のベースモデル:カブトムシ 2wayショルダーバッグ(A-3)
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