HERZなんでも実験室とは・・?
HERZの鞄や小物を愛用していく中で起こるトラブルや疑問。はたまたHERZ製品に関わる物・人について。疑問に思ったことや気になること何でも!調べて実験してその “ほんとのところ” をHERZスタッフ自らが探っていく!という企画です。
Vol.2 夏は特に気をつけたい、革の色落ち・色移り!
第2回目は、色落ち・色移りについて。
HERZの革は、革本来の表情や風合いを楽しんで頂く為、色止め等の表面加工を最小限に留めています。その為、色落ちや色移りが起こりやすい革です。
特に衣服が濡れていたり、革自体が濡れていると色落ちはし易いと言われています。これから夏本番となれば、汗をかいて衣服が濡れることや急な雨で鞄が濡れてしまうこともしばしば。また、白やベージュなど明るい色のお洋服を着る機会も増えるので
益々衣服への色移りは心配なところ。
そこで、今回は特に気になる「衣服への色移り」についてのこの疑問
Q1、洋服が乾いている時と、濡れている時、色落ちに違いはあるの?
Q2、洋服の素材によって色移りの違いはあるの?
Q3、革色によって、色落ちの違いはあるの?
Q4、保革オイルを塗っておくと何か効果はあるの?
について調べてみました!
【実験内容】
今回は、洋服の代わりに白い布(綿)を用意し、それぞれ100回革が擦れた場合を検証します。
Q1、洋服が乾いている時と、濡れている時、色落ち・色移りに違いはあるの?
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白い綿の布を2枚、ラティーゴ(ソフトレザー)キャメルを2枚用意し、 一方の布は乾いた状態で上から革をこすり、もう一方の布は水に濡らし、 同じ様に上から革をこすりました。
実験開始!乾いた布に革をこすっていきます。
乾いているので、さらさらとしていてスッと革を動かすことが出来ます。
50回を過ぎても殆ど色が付いている様子はなく、80回辺りでうっすら色がついてきたような状態でした。
結果がこちら。
擦った箇所にうっすらと着色しています。
それなりに力を込めて革を擦ったということもありますが、
乾いた状態でも衣服との擦れで色移りがあるようです。
革の状態はというと
殆ど変化は無いように見えますが、よく見ると擦った左側に艶が出ています。
次に布を濡らして、同じように革をこすっていきます。
濡れているせいか、擦る際も若干引っかかりがあります。
擦るとすぐに、見て分かるくらい濃く色が付いていきました。
結果がこちら。
はっきりと色が濃く付いています。
こちらの革は布と擦れる段階で大分濡れてしまったため、一度乾かしました。
擦った左側の表面がかなり薄くなって、色が落ちてしまっています。
表面の色がそのまま布についてしまったことがよくわかります。
Q1、答え
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布が乾いている時と濡れている時では、色落ちする度合いは大きく異なる。 乾いている場合は、数回の擦れでは色落ちは感じられず連続して数十回(今回は7~80回)擦ることで目で見て分かる程度に薄っすらと布に着色した。しかし濡れている場合は、数回擦っただけで目に見えるほど布に着色していき革の表面の色が殆ど布に移ってしまった。 また、濡れている場合は革の色落ちやダメージも激しかった。
Q2、洋服の素材によって色移りの違いはあるの?
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Yシャツで一般的に使用されているポリエステル65%綿35%の白い布を用意し、Q1と同じように濡れた状態で革を擦り、その色落ち具合を検証する。
実験開始!濡らしたポリエステルの布に革をこすっていきます。
綿とは違い、表面がさらさらしているせいか摩擦は少ないように感じます。
それでも、早い段階で布に色が付いていきました。
結果がこちら。
かなり色濃く着色しています。
Q2、答え
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洋服の素材による色移りの違いは殆ど無く、濡れた場合にはいずれも強く色移りが起こる可能性が高い事がわかる。 今回は綿とポリエステルのみでの比較だったが、一般的に洋服に使用されている繊維については注意が必要である。
Q3、革色によって、色落ちの違いはあるの?
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Q1で使用しているラティーゴ(ソフトレザー)の定番色チョコ、黒、グリーン、赤の端革を各1枚用意し、濡らした白い布に同じように上から革をこすり色落ち・色移りの具合を比較します。
実験開始!濡らした白い布に各色の革を上から擦っていきます。
いずれもQ1の時と同じように、早い段階で布へ着色していくのがわかります。
実験後すぐの様子。
Q3、答え
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布が濡れている場合はいずれも強く着色し、革色による色落ちの違いは、殆ど無い。
Q4、保革オイルを塗っておくと何か効果はあるの?
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革に保革オイル(ラナパーレザートリートメント)を塗布し馴染ませます。そして、その革を使い他の実験と同じように濡らした白い布に擦り、Q1との色落ちの具合を比較します。
最初はオイルの効果か、数回は擦っても色落ちを感じませんでしたが、
10回を過ぎた辺りから次第に色がついていくようになりました。
オイルのコーティングがある時は色落ちしないようですが、取れてしまってからの色落ち具合は
塗っていない時とあまり変わらないように感じました。
Q4、答え
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表面にオイルが付いている分、何もしていない革と比べると色落ちするまでに少し時間がかかるが、色が落ち始めると、何もしていない革と同様に色が落ちていった。 色が落ちるまでの速度が遅くなるという点で、若干だがオイル塗布の効果はある。
【まとめ】
革色や着ている繊維に関わらず、濡れてしまうと激しく色落ちし衣服へ色移りすることがわかった。
夏場に革鞄を使用する際は、なるべく濃い色の洋服を着るなど少しの注意が必要である。
また、乾いている状態でも一定数の摩擦が起こると色落ちする可能性があるので、強く摩擦が起こるようなことは避けたい。
※必ずしも、お使いの商品で同じ状況になるとは限りません。
今回の実験を参考に、夏場での革鞄の使用を楽しんで頂けましたら幸いです。