定番商品よりも挑戦的なサンプル品。
そのときどんなことを考えて、何を体現したくて、作るまでに至ったのか。
既に仕上がった鞄を軸にして思い出してみようという、口数少ない村松による
いつの間にかモノローグ形式の試作レポートスピンオフ企画。
第6弾、ハードレザーとソフトレザーの2wayビジネスバッグ
新しい鞄をつくる時、最初にイメージがあって、
それを実現させようとして試作が始まるんだけど、
その過程でいくつもいくつも問題が起こるわけです。
昔の型紙を引っ張り出してきました
今回の場合は、本体にやわらかい革を使う予定だったので、
ファスナーの開閉がスムーズにいく為にはどうしたらいいか?
とか、やわらかい革に取っ手を付けるので、そこの補強をどうするか?
など その他諸々です。
それらの問題を解決する為にいくつも試作品を作って
実際使えるかどうかを試していきます。
今回も数パターン作っていく中で、取っ手の補強の革を大きくしてみたり、
内側にひとまわり小さい革を貼ってみたり、
何かひとつの工程で、取っ手の補強とファスナー周りの補強を
同時に解決できないかなぁ、って考えてて
そこで上半分をまるまる2.7m/m厚の堅い革にしちゃおうって思いついた。
見た目は最初のイメージと変わってきそうだけど、全体のフォルムはむしろ
このアイデアの方がおもしろい。
問題を解決することができたし、作りもより単純になった。
上半分がかっちり、下半分がフニャっとしわが入る感じもすごく、いい。
「フォルムは機能に基づく」
アッキーレ・カスティリオーニおじいさんの言葉なんだけど、
これも僕が鞄を作る上でのひとつの基準です。
装飾ではなく、機能に基づいた形を作る。
用途、使いやすさ、丈夫さ、
これらは新しい鞄を作るときに外せない大事な要素です。
ここをクリアした上で さらに+α
魅力的なものが出来れば、なお良い。
そこが一番難しい!
って前も同じこと言ってたっけ?
でもやっぱりそこなんです。
6回(+余談)でお送りしてきたエピソード0。
こちらに登場してきた鞄たちが、明日5月2日(土)より本店に並びます。
作り手の奮闘が詰まった鞄、ちょっと違う視点で見ていただけたら幸いです。
※サンプル品は現品販売のみです
編集と文:岡松