<ボーナストラック-bonustrack->
2016年の村松を囲む活動は、遊び(どちらかというとゆとりの方です)を視野に入れて。
HERZの真骨頂:ベジタブルタンニンなめしの我らがラティーゴとスターレから
少し軸を外した素材に挑戦してみる企画も盛り込んでいこうと思います。
先週本店の初売りよりご紹介したのは、村松が作るヌバック&スエードのぺたんこポーチ。
この革を見て作りたいと思ったのは、何の変哲もないただのポーチ。
素材をきわだたせるために、ヘルツの特徴であるステッチを敢えて見えない様に
工夫してあります。
いつもとまるで違う表情、質感の革に触れることで、また新鮮な気持ちで考えを
巡らせることができる。
普段見送ってきたアイデアを「やってみよう」って思うことができたんです。
今回のヌバック&スエード、後に登場するヌバック×アラスカを “遊び(≒ゆとり)” と謳うのは、
まずタンニンなめしの革が好きであること、そしてそれを使って何かを作ることがとても
好きであることが大前提にあるからです。
それを知っていただくには村松がどんな経緯で革と関わってきたかをお知らせするのが一番かと思い、
いったんのスピンオフ全2回、モノローグでご紹介することにします。
一番最初の革との出会いは大学を卒業してアルバイトしてたカフェで。
革作家が作った革小物を販売してたんだけど、その時はあんまり興味なかったんだよね。
今思うと革がきれいすぎて。
もともと作るのが好きだったから、その頃には自分が使う為に豚革スエードのポーチとか
作ってたけど、革をあつかってる意識はなかった。ほつれないから便利って感じで。
そのカフェではアラビアのコーヒーカップを使ってて、その辺りの北欧の食器に
興味が出てきて、デンマークとフィンランドに旅行に行ったんです。
ここで骨董市巡り、アンティークショップ巡り、この旅行が楽しくて!
そういえば日本にも骨董市あるよなあ、行ったことなかったなあ。
なんで今まで行かなかったんだろうって思って。
ここから毎週末の骨董市巡りが始まるんです。
もともと古着とか古本とか好きだし、古道具屋に通い始めたのも
この頃なんだけど、やっぱり骨董市の方が断然おもしろい。
「何コレ?」っていうものばっかりで、毎回新しい発見があった。
骨董市には「うぶだし屋」っていう人が何人かいて、どこか田舎の
古い家の蔵の中のものを選んだりせずにそのまま全部、市に持ってくるんだけど、
そのガラクタの山の中から宝物を探しだすのが楽しくてしょうがなかった。
その宝物の中に、革製品もいくつかあって、古いものだからキズがあったり
シミがあったり、味が出ててすごく魅力的に見えた。
古いミリタリーのモノで革パーツを使ったものもよくあるんだけど、
その革はすごく質がよくて、革をそんなにさわったことのない当時の僕でも
違いがはっきり分かるほどいい革だった。
誰かが言ってたのは、軍モノって直接命にかかわるものだし、国で
作るものだからその時の最高に質がいい素材を選んでるからだろうって。
そういういい革を使って作られたものを見ているうちに、味が出る革っていいなあって
思うようになったんです。
vol.2へ続く
編集と文:岡松