<ボーナストラック-bonustrack->
2016年の村松を囲む活動は、遊び(どちらかというとゆとりの方です)を視野に入れて。
HERZの真骨頂:ベジタブルタンニンなめしの我らがラティーゴとスターレから
少し軸を外した素材に挑戦してみる企画も盛り込んでいこうと思います。
村松がタンニンなめしの革との関わりについて、後編。vol.1はこちらから
勿論、作るのも好きだったんです。
初めてタンニンなめしの革で何かを作ったのは、23歳くらいの時かな、
ヘルツに入る4年前。
これだよ。
ある手芸用品店の革コーナーで、革のきれっぱしを見つけて「この革が欲しい」って思ったんだ。
何かを作ろうと思って革を探しにいったわけじゃなくて、「この革で」何かを作りたいって思った。
だから、サイズも買った革の幅のままだし、何を入れるとか考えてないから、
結局コレ使わなかったね。
なんか味が出てるように見えるのは、最初内縫いしようと思ってて
お湯につけてひっくり返そうとしてぐいぐいやったから。
今思うと3m/mくらいの厚さの革を漉きもせずにひっくり返るはずないのに…
全然ひっくり返らないから途中であきらめて外縫いすることにしたんだ。
これを作った後に、手縫いの道具を買い揃えて独学でサイフとかカードケースとかを作り始めた。
知り合いが買ってくれたりして、結構作ったんだよ。
その頃は、タンニンなめしとクロムなめしの区別もよく分からなかったけど
買ってた革は全部タンニンなめしの革だった。
2年くらいアルバイトしながら手縫いで作ってたかな。
友人に頼まれては作って…サイフだけでも20個くらいは作ったかなあ。
自分が作ったサイフを使ってくれてる友人が「ほら、こんなに色が変わってきたよ」
って見せてくれたりするんだけど、作った時より断然かっこよくて、
革ってすごいなあって思ってた。
ここにあるサイフは友人が使ってくれたやつを買い戻したんだよ。
キズがついたりシミができたりっていう革が好きなんだけど、そういう革製品って
ちまたにあんまりなくて、だからヘルツの鞄を駅のホームで見かけた時は衝撃だったなあ…
そこからヘルツのことを調べて今に至るわけなんだけど。
そういうわけで、
基本的にはタンニンなめしの分厚い革が好き。
キズとかシミがあったり、表情のあるヘルツの革が好きだから、今まで9年間
飽きずにヘルツで作ってきたんだけど、今回、革を選んできていいよって言われて、
革屋さんに行ってきて、なぜか気になるものはスエードとかヌバックが多くて、こういう革も
たまにはいいかもって思っちゃった。
タンニンなめしの革もたくさん見たんだけど、
ヘルツのラティーゴ、スターレ以上にいい革が見つからなくて、それで
普段見慣れてないヌバックやスエードの質感に魅力を感じちゃったんだよね。
だから、ちょっと寄り道って感じでヘルツと対極の革を選んでみました。
いつもとまるで違う表情、質感の革に触れることで、また新鮮な気持ちで考えを
巡らせることができる。
普段見送ってきたアイデアを「やってみよう」って思うことができたんです。
次回はオンラインショップで販売するポーチの作り手が登場!
編集と文:岡松