<ボーナストラック-bonustrack->
2016年の村松を囲む活動は、遊び(どちらかというとゆとりの方です)を視野に入れて。
HERZの真骨頂:ベジタブルタンニンなめしの我らがラティーゴとスターレから
少し軸を外した素材に挑戦してみる企画も盛り込んでいこうと思います。
今回の2種類のポーチ、そのもうひとつが、フツウトートでお馴染みの楠作です。
「自分の使いたいものを作る」命題に燃える楠に、タイミングよく村松から手渡されたヌバック。
師匠が気楽に選んできた革を前に、弟子は苦しんでいました。
正直なところ、企画商品でヌバックを使うと聞いて驚きました。
本当ですか?皆さん驚かないですか?と不安になり何度も村松さんに聞いていました。
私の思うヘルツのイメージと大分違いがあったので。
私の思うヘルツらしさとは、ただそこにドンっとあるだけでとても存在感がある
分厚くて堅いタンニンなめしの革。
そこに太い糸や大きなカシメなど強者が揃い?この絶妙なバランスが生まれとても力強い。
そんなイメージです。
ヘルツのタンニンなめしの革は、作るのにとても手間がかかるため値段も高く、重く、かたく
キズもむき出しであったり色が落ちたりすることもある。確かにデメリットもたくさんあります。
でも、キズもシミもなく、色が変わらない、私たちの行動に反応が全然ない革よりも
とても自然であたたかい。もともと革は生き物なので個体差があって当然。
革が変化していく様子はまるで歳を取るごとにかっこよくなっていく
おじいさん、おばあさんのようで素敵です。
また、作り手としての面白さは、素材を限定しているところにもあると思います。
ファスナー、金具類、糸、そして革です。
定番で使っている革は、ラティーゴとスターレの2種類。
素材が限られることで自然と形を工夫することに全力を注げます。
それが本来の作ることの楽しさだと思うんです。
だからヘルツの鞄は「ヘルツらしい」でも「個性的」なんだろうなあ。
そのたった2種類の革を
「素材を限定されてるって感じたことはなかったな。堅い革も柔らかい革もあって、
厚さもたくさん、何でも好きなものが作れるよ」
と捉えているあの村松さんは、まだまだあの定番の革でたくさんの鞄や小物を作るつもりのはず。
それならなおさら、なぜ今回はヘルツのイメージとは対極的なヌバックを使おうと思ったんだろう。
ヌバックをもらった時にはその理由も聞かされていなかったのでとまどいましたが、
これは自分なりにテーマを決めて作れるいいチャンスかもしれないと思うことにしました。
いつもと違う素材をせっかく使えるのだから、自分にとって取り組む意味をもたせたい。
それは、この柔らかい素材だからこそできる作りとこの色味や質感の持つ見た目の
かわいらしさを活かしたい、ということ。
そして、ヘルツとして出すのだから「ヘルツがヌバックを使ったらこうなる」というようなイメージ、
ヘルツっぽさ=ヘルツのにおいのする部分をどこかに入れたい、ということです。
来週2月3日(水)はいよいよオンライショップにて楠が作ったポーチを販売します!
編集と文:岡松