とある学校の学園祭。
晴れやかな空気の中に包まれて飾られた鞄たちは、何を隠そう、ある依頼を受けたヘルツの作り手たちがお手伝いしたものでした。
ものづくりの専門学校で行われる企業連携プロジェクトなる試みに、鞄コースの「先生」として呼ばれた3人。
企画の立案から個々の発表、素材の選定や数回にわたる試作に携わってきました。
“先生”たちは、作る意欲に対していつも前向き
それは、学生のみなさんに対しても変わりませんでした。
ご存知の通り、ヘルツには鞄のデザイン部なるものはありません。
物理的にも雰囲気的にも、在籍するスタッフそれぞれが、自由に作っていいという環境があります。
ミシンを踏めない事務スタッフの発案でも、話すと面白がって形にするのを手伝ってくれる作り手がどこかにいるものです。
というのは聞こえはいいですが、ひとつのものを、お店に出してもいいという状態に納得いくまで作り上げていくには勿論、相応の忍耐と努力が必要なのは言うまでもありません。
他人が作るものを面白がる傾向がある
それは、みんな自由に、工夫や改良を提案してくるということです。
作ろうとするものが良くなるように、みんなで頭を悩ませて。
何とかモノにしたいと、先生たちはかなり具体的に、時には原点に立ち返って、様々な提案を投げかけました。
一方、手を動かすのは、作る本人です。
機材や素材、価格の制約の中で、考えられる選択肢から方法を選び、同時に、何を言われても譲れない部分を自分に問いかけながら、削ぐ、見直す、足す…無限のパズルを組み立てていきます。
それを越えていくには何より、「こういうのを作りたい」という本人の熱量とその持続が大事になってきます。
“授業”において、その時間の多くが静かな熱気に包まれたのは、学生のみなさんの「こういうのを作りたい」が、きちんとあったからでした。
基、迷っても、それを真剣に探そうという気持ちがあったからでした。
学ぶ場なのだから当然なのかもしれませんが、悩み、考え、決断する姿に、
そして何より作り上げた後の晴れやかな笑顔に、密かに心打たれたのは私だけではないはずです。
熱意を灯しつづけながら、考え、試して、根気強く学ぶ───
新しいものを作る、このひとつとっても、そんなヘルツの日常の一端に触れていただけたのではないかと思います。
※映りこんでいる鞄たちは、ヘルツでは販売しておりません
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