こんにちは、HERZオンラインショップの松下です。
今回は、「からげのボストンバッグ(A-24)」の制作風景をご紹介します。
からげる、とは、漢字で書くと「絡げる」となり、くくる、縛る、編む、束ねる、などに近い言葉。
ヘルツの創業当初、創業者の近藤がミシンを手に入れる前の時代。
近藤は、カシメで革を留めたり、革紐をからげたりして鞄を作っていました。
ヘルツらしい厚みのある革をからげて出来上がる、他にはない個性的な表情が一番の魅力。
創業からほどなくしてミシンを導入した後も、からげの魅力をそのまま活かし、
今もなお作り続けているボストンバッグがあります。
それが、からげのボストンバッグ(A-24)です。
革に大きく開いた、無数の穴。
鞄本体とヘリ巻きの両方に革ひもを通すため、一発ずつ手作業で開けていきます。
ひたすらハンマーを叩き豪快に進めていく工程ですが、
まるでミシンの針穴のように、規則正しく均等に開いた様子は圧巻です。
革紐でからげていくのは、見た目以上に力が要る工程。
厚みのある革を重ねた部分に、厚みのある革紐を豪快に通していくので、
一か所通すたびにギュッと強く力を入れて、緩まないようにからげます。
ふう、と思わず一息。
ただ紐を通すという単純に見えるこの工程が、鞄のフォルムを作り出す最も大事な工程です。
力の入れ加減を誤ると、用意した革紐の長さが足りなくなって一からやり直し。
創業当時の近藤の苦労が、僅かに垣間見えるワンシーンです。
からげたことで生まれる、クシャッと波打った縁が目を惹きます。
何十年も使い込むとどんな経年変化を見せるのか、じっくり育てがいがありそうです。
ぐるっと一周からげ終わると、工房内でもひときわ存在感を放つ鞄が出来上がり。
最後に内側で紐の端を留めたら、完成です。
しっかりと頑丈に仕上げられた、からげのボストンバッグ(A-24)。
厚みのある革でお作りしているので、使い初めはかなりボリュームがありますが、
何年もお使いいただくうちに徐々に身体に馴染み、ご自分だけの経年変化をお楽しみいただけます。
ヘルツならではのクラフト感あふれる、個性的なからげの鞄。
いつか気兼ねなく世界中を旅行できるようになったら、
お気に入りの服やカメラを詰め込んで、旅の相棒に持っていきたい一品です。