素材としての魅力「タンドーソフトレザー」

素材としての魅力「タンドーソフトレザー」

こんにちは、ヘルツオンラインショップの斎藤です。
ヘルツには直接タンナーさんにお願いして作ってもらっているオリジナルレザーがあります。

HERZオリジナルレザーについて詳しく

その中でも今回は「タンドーソフトレザー」にフォーカスしてみたいと思います。

タンドーソフトレザーは他のオリジナルレザーに比べ、その素材を使った定番商品は少ないです。
例として、下は腰袋的タンドーベルトポーチ(TN-27)の写真です。スターレで作られている大工さんの腰袋的ベルトポーチ(E-27)をタンドーで仕上げたバージョンです。

腰袋的タンドーベルトポーチ(TN-27)

少ないラインナップの中でもその革の表情や質感が活かされたアイテムが揃っていますよ!

僕自身、タンドーという素材の魅力をもっと深く知りたいと思い、カット(革の裁断)担当と作り手にお話を聞いてみました。

 

裁断担当髙山

まずは、カット(革の裁断)担当の髙山。僕が革について聞きたい事が出来た時、真っ先に聞きに行く頼れる存在です。

髙山
「ちょうど今、オンラインショップ限定のタンドー企画も真っ只中で、普段よりタンドーを切る機会が多いですよ。キャメルもチョコも見ますか?」

そう言ってくれて、まだ裁断されていない状態の革を見せてくれました。

上の画像、左がキャメル、右がチョコの革色です。
キャメルはエイジングで俗に言うアメ色に、チョコは深みが増してツヤツヤに育っていくのでしょうか。想像しただけで楽しくなります。

さて表情はと言うとシワが豪快に入った荒々しいもの。シュリンク加工(革を縮めてシワを出す)がされているので、他のヘルツのオリジナルレザーではなかなか見られないワイルドな見た目です。

 

タンドーのシボの表情

シワの他に「シボ」もワイルドに入っている箇所もあります。
表情は人それぞれお好みがあるかもしれませんが、このように個体差が激しいのも魅力のひとつ。
同じ品番のアイテムでも、きっと表情はそれぞれ違いますね。

 

タンドーの波打ち

これは、髙山が型紙を乗せて、どうカットしていくか考えているところ。
おわかりとは思いますが、革はかなり波打っています。

 

実際に型紙をつかい革に「けがく」(細い棒で跡をつける)時は、少し分割しなるべく平坦な状態で行っていました。

髙山
「ラティーゴの一番厚みのある革に感覚としては近いですけど、やっぱりシュリンクされているのでフラットではない事や、柔らかい事は考慮してカットしています。普段(ラティーゴやスターレといったオリジナルレザー)に比べ気を使う部分もありますね。」

製品(鞄や小物)になる前の革を見ると、育てたい!(エイジングさせたい!)という気持ちになり、その素材を使ったアイテムを探すのは僕だけでしょうか。

 

作り手高橋

次にお話を聞かせてもらったのは作り手の髙橋。ちょうどタンドーの品番を作るタイミングがありお願いしました。
まだまだ若手の作り手ですが、すでにいくつかのタンドーアイテムは作れるそうです。

髙橋
「タンドーの品番ってたまに遊び心と言うか、しっかりと決まっていない部分があっておもしろいんですよね!僕自身革好きなので、革らしい革!って感じで見た目も好きです。」

 

Lionウォレット(TN-105)の製作(引き手)

今回実際に作っていたのは、Lionウォレット(TN-105)
髙橋が言う、TN-105のしっかりと決まっていない部分は上の写真の引き手の端のデザイン。
角度等は決まっておらず、製作する作り手にお任せなんだそう。

 

刻印を入れているところ

刻印を入れる時は、タンドーの柔らかさに気を付けていました。
張りのある硬い革と同じように力を込めると、革が伸びてしまったり、キズがついてしまう恐れがあるようです。

革質を見ながらではあるようですが、オイルも含まれているので、普段より軽めに刻印をいれても見た目はしっかりと入ってくれるそうです。

 

Lionウォレット(TN-105)の製作(厚みの調整)

「漉き」と言って革の厚みを調整する工程です。

髙橋
「革に厚みがあって、ひっくり返しはかなり大変です。ひっくり返す時に革が割れてしまったり、仕上がった時の見た目を考えると、厚すぎず薄すぎずちょうど良い所を目指さないといけないので、漉きは重要ですし、プレッシャーが掛かります。」

 

Lionウォレット(TN-105)の製作(仕切り兼小銭入れ)

仕切り兼小銭入れの部分です。厚みがあって折るのは大変です。しっかりとくせ付けしておきます。

 

仕切り兼小銭入れのパーツはライオンの鬣(たてがみ)でもあります。
分厚い革が重なった特徴のあるコバにはファンも多いのではないでしょうか。

厚みがある分、波型のカッターを使うのも慎重に。

 

Lionウォレット(TN-105)の製作(ファスナーの仮留め)

これはファスナーの仮留めの工程です。
先に紹介したように革がフラットではないので、仮留めをきちんとしないと縫い終えた後に歪んでしまったりするそうです。

 

緊張の縫いの工程を終えたら、一旦ファスナーが問題無く開閉するかチェックしていました。

 

Lionウォレット(TN-105)の製作(仕切り兼小銭入れの縫い付け)

製作はいよいよ終盤に差し掛かり、仕切り兼小銭入れと本体を縫い付けます。
銀面(この場合は表面)同士を合わせて縫っていますが、恐らくシュリンクで銀面に凹凸がある事やオイルが入っていることで仮留めがくっつきにくいそうです。ずれないように慎重に縫っていました。

 

Lionウォレット(TN-105)の製作(ひっくり返し)

いよいよひっくり返しです。漉きの工程はここで活きてきますね!

 

Lionウォレット(TN-105)

ファスナーに引き手、上のベルトをつけたら完成です!

Lionウォレット(TN-105)

素材が違えば、その分普段と違う工程や気遣いがありました。
これを読んでタンドーソフトレザーに興味をもってくれたり、ますます好きになってくれたりしたら嬉しいです。

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