こんにちは、HERZオンラインショップの入間川です。
今回は前に投稿したメンテナンスのススメの後編をお届けします。
前編をご覧になっていない方はそちらをお読み頂いてから後編に入ってもらえると嬉しいです。
春財布2020 オンラインショップ「作り手に聞く!メンテナンスのススメ!前編」
あ!それと、オンラインショップで行っている春財布早期納期の受付は3月22日(日)までです!
間もなく終了!ご検討中の方は、お早めに~!!
さて、今回はメンテナンスのススメ!後編。
大ベテランの作り手:永崎へのインタビューを掲載したいと思います!
財布をご購入された方も、これからお求めになる方も、ぜひメンテナンスの参考にしてみてください◎
メンテナンスについては、お手入れ方法のページもぜひご覧ください!
今回は二つの財布を使用
メンテナンス用にお借りしてきたアコーディオンウォレット(WL-4)と二つ折り財布(WS-8)を使用します。
どちらも春財布早期納期対象品番ですので、要チェックよろしくお願いします!
それでは行ってみましょう!
今回、僕の質問に答えてくれる作り手:永崎。
20年以上、ヘルツで商品を作り続けている大ベテラン。主に財布などの小物を中心に作っています。
分からないことがあれば永崎へ。生き字引たる頼もしい存在です。
キズをつけてしまったらどうしたらいい?
入間川(以下、入):よろしくお願いします!
永崎(以下、永):おう、よろしく~。どんなことを聞きたいの?
入:まずは革についてしまったキズについて聞かせてください。財布は特にですけど、ふとした時に爪でひっかき傷をつけちゃう事があるんですが。
こんな感じで。そういう時はどうしたらいいですか?
永:キズを消したいってことかい?うーん、消すってのは難しいな。馴染ませたり、多少目立たなくすることくらいなら何とかなるかな。
入:どんな風にお手入れしたら良いですか?
永:まずは水やお湯で濡らした布を、しっかり絞って水気を切ってから、商品全体を拭いてあげる。
拭いた後、乾いてからラナパー塗ってあげてさ、ほらだいぶ変わってくるだろ、こんなもんかなあ。
入:おおっ、だいぶ変わりましたね!
永:これでちょっとしたキズはかなり馴染むよ。
入:こんな風にたくさんキズが入っていたり、深く入ってしまったキズはどうですか?
永:ちょっと手入れしてみようか。
入:こちらはちょっとだけ変わりましたね。
永:すべてのキズを完璧に消すことや、目立たなくすることはなかなか難しいと思うな。
俺の場合、キズはもう味だと思ってる。エイジングで色が濃くなってくれば目立たなくもなってくるしな。
入:なるほど。
永:革って使っていくと表面が磨かれてツヤになるじゃん。そうすると付いたキズを馴染ませるのは難しいんじゃないかな。気になる人は気になるかもしれないけど、これは使ってきた証だから、そんなに気にしなくていいんじゃないかなぁ…と個人的には思うよ。
入:確かに。使い込まないとキズもできないですからね。ラナパーとか、オイルは塗った方がいいですか?
永:水拭きの後は、革をしっかり乾かしてからオイルを入れたほうがいいね。あとは、商品がスターレ(ソフトレザー)で作られている場合、揉んであげるとある程度は馴染むかもしれない。
入:スターレ、揉んでも良いんですか!?
永:強く、無理やり揉んだりしなければね。手入れしたあとさ、ちょっと裏表を揉んでやればある程度傷は馴染むと思う。ラティーゴは革が硬いから揉むわけにはいかないな(笑)。
オイルを入れすぎるとどうなる?
入:例えばですけど、キズがついちゃったからなんとかしたくて、こまめにオイルを入れ続けたら、それはまずいですか?
永:うーん・・・それはあまりお勧めしないな。オイルを入れすぎると、変形する可能性があるからね。
入:変形すると、どういうことが起こるんですか?
永:例えば、財布でいうと小銭入れなんかは、コインの跡とかホックボタンの跡がついたりするだろ?
入:いわゆる、「アタリ」っていうやつですよね?
永:そうそう。アタリは、いつも同じところに同じものを収納してたりすると起こる革の特徴だけど、オイルを入れすぎたことで革が柔らかくなりすぎると、入っているモノの形に合わせて変形することがあるんだ。
入:形が変わっちゃうんですか?
永:財布みたいな小物の場合は、蓋とかのパーツ類が大きく偏った変形をしてしまうことはある。
そうなると見た目のバランスがおかしくなったり、ホックボタンの位置関係がおかしくなって蓋が閉まらないとか、そういう不具合が起こる。
入: えっ…それは確かに良くないですね。
財布の内側は手入れしたほうが良い?
入:オンラインショップのお客様からいただいた質問なんですけど、財布の内側、いわゆる革の裏側(床面)ってオイルを塗った方がいいですか?
永:基本的には塗らなくていいし、みんなそういうご案内をしていると思う。ただ、これは個人的な意見になるけど、微量ぐらいなら塗ってもいいとは思う。
入:永崎さんが、これと決めている分量はあるんですか?
永:俺の場合はオイルを塗ったあと、手に残ったのを擦る程度だね。
入:具体的にどんなメンテナンスのやり方をしているんですか?
永:俺は、革の表面に塗るオイルの量も少な目にしているんだ。オイルの分量は使っている商品によるけど、例えば年間でティースプーン1杯分が適量だとして、2回に分けて半分ずつ入れるんじゃなくて、4回に分けて1/4ずつ入れるって感じかな。
入:結構細かいですね?
永:そうかなぁ。もっと細かい人もいると思うよ。これ以上細かくすると俺はめんどくさくなっちゃうからやらないけど(笑)。それで、塗った後に手についたオイルを革の裏側に塗ってあげる程度かな。手を洗う前に「革で拭いとくか」って感じだね。
入:じゃあもう塗るっていうか、手についた油をとるってイメージですね。
永:そうだね。結局、財布をポケットとかに入れて日々使ってもさ、油分を持っていかれるのは革の表面だからね。裏側はそうはならない。だからあんまり気にしなくてもいいと思う。
入:ということは、塗らなくても?
永:うん。どうしても気になる人は、革の表面にオイルを塗ったついでに、裏側を手でなでてあげるくらいで良いんじゃないかな。
ミンクオイルの使用について
入:ミンクオイルは使ったことありますか?
永:昔、使ったことあるよ。でも鞄じゃなくて私物のブーツにね。結構伸びたね~。
入:伸びた?
永:ミンクオイルは浸透力が高くて、革に塗るとすごく柔らかくなる。それで手入れしながら、使っていると革が伸びてくるね。油分がラナパーより少し強めな印象かな~。だからヘルツの革に塗るなら、ちょっと気を付けた方がいいかも。
入:なんだか使い方が難しそうですね。
永:そうかもね。でも恐れずに使ってみるのも良いと思うよ。まずはごく少量を伸ばすように塗ってあげるとかね。いずれにしても塗りすぎは厳禁だね。
入:最後になりますが、メンテナンスについて、他にも何かアドバイスはありますか?
永:空拭きもいいって聞くよな。お古のTシャツの切れ端とかをちぎって、拭いて手入れしてやると結構ツヤが出るって聞くよ。
入:おお~、それ今日から僕でも出来そうです!早速やってみようかな。色々教えていただき、ありがとうございました!
永:おう。分からないことがあれば、いつでも聞きにきなよ。
というわけで、永崎に聞いた話をまとめてみました。
・傷がついたら良く絞った濡れ布巾で全体を拭いてあげる。乾いたあとはオイルを入れる。
・スターレのような柔らかい革は、揉んであげることで傷が馴染む場合がある。
・オイルの塗りすぎは、商品が変形してしまうこともあるので気を付ける。
・革の裏側は、基本的には手入れ不要。気になる場合はほんの少しオイルを塗ってあげる。
・ミンクオイルは、油分が強めなのでヘルツの革に使う際は少量で。
以上、前後編に渡ってメンテナンスインタビューをお届けしましたが、いかがでしたか?
財布だけでなく、その他の小物類にも当てはまる話ですので、ヘルツの小物商品を持っていらっしゃる方の、メンテナンスに少しでも役立てばうれしいです。
僕も、今回聞いた話を活かして、お財布を長く愛用していきたいと思います。
それでは、今回はこの辺で!