鞄の製作過程で使われる道具たち

鞄の制作過程で使われる道具たち

こんにちは、仙台店の山川です。
仙台はここ数日、30度越えの日が増えてきました。
暑さに負けず、みんな鋭意製作中です!

さて、仙台店を含めヘルツでは売り場と工房が一体となっているので、ご来店された方は奥の方で鞄を作っているのを目にされるかと思います。
ただ、近くでまじまじと見る機会は中々ないと思うので、具体的に何を使って何をしているんだろう、と気になる方もいると思います。

そこで、今回はある鞄に注目して、その製作過程で使われる道具を紹介しようと思います。製作の工程ではなく、道具の紹介です。
つくるのはたまたま予定に入っていたソフトダレスバッグ(BJ-68)
いったい幾つの道具を使うのでしょうか。

 

クリッカーと抜き型

クリッカーと抜き型

まずは必要な細かなパーツを抜きます。
基本的には裁断担当が革の裁断を行いますが、仙台店では作り手が自ら用意するパーツもあります。

 

よく使われる抜き型

よく使われるパーツは抜き型が用意されています。クッキー型みたいなものです。

 

抜き型を使った裁断

変わったカタチのパーツも、革に型をセットしてクリッカーでガシャンとするだけで一瞬で裁断することが出来ます。なかには抜き型がないものもあるので、その場合は自分で切り出すものもあります。

 

漉き機

漉き機

革が重なるところなどは漉くことで厚みを調整します。同じ厚さの革でもその時使う革によって個体差があるので、丈夫さを第一に考えながら感覚でベストな状態に調整します。
丈夫さと作りやすさのせめぎ合いです。

 

刻印機

刻印機

100℃に熱された刻印をプレスして、皆さんお馴染みのヘルツのマークを革にいれます。
油断して触れると「熱っ!」と声が出そうになります。

 

ガリガリ

ガリガリ

あとで糊がつきやすいように毛羽立たせます。

 

糊付け機

糊付け機

貼り合わせる箇所に糊をつけます。
素早く均一に塗ってくれる頼りになる存在です。

 

デバイダー、ローラー、ポンチ

デバイダー、ローラー、ポンチ-1

デバイダーでガイドのラインを引きます。

 

デバイダー、ローラー、ポンチ-2

先ほど糊付けした口枠の革を張り合わせ、ローラーでくせづけます。

 

デバイダー、ローラー、ポンチ-3

後ほど金具を取り付けるための穴をポンチで開けておきます。
ポンチには穴の径によって色々な種類があり、その時々で使い分けます。

 

目打ち

目打ち

目打ち2

あとで内側のポケットの貼り付け位置を決めるために、数か所を目打ちで貫通しておきます。

 

定規、けがき棒

定規、けがき棒

縫うラインをあらかじめひいておきます。
けがき棒は目打ちよりも先端が丸みを帯びており、革に印をつけたり、糸を引っ張ったり、万能な道具です。

 

染料、磨き布、木片

染料、磨き布、木片

個人的に「ヘルツらしさ」を醸し出している要素の一つに「磨き」があると思っています。
磨き布の中には各自硬めの芯を入れることが多いのですが、私は近所の画材店の版画コーナーでセールになっていた謎の木片をカットしたものを使っています。
一見ただの木のかけらですが、結構お気に入りの「道具」です。

 

染料、磨き布、木片2

各パーツに染料を入れ、オイルをしみこませた帆布(磨き布)でぎゅっと磨きます。
そうすると、きらきらとした独特の雰囲気が出てきます。個人的にとても好きな工程です。

磨きの入り方は作り手によって個性が出る工程の一つでもあると思います。
同じ鞄でもそれぞれ個性がある、そんなヘルツならではの面白さが由来する工程かもしれません。

 

ミシン

ミシン

「鞄を作る」と聞いて一番最初にイメージする道具といえばミシンでしょうか。
縫う物によって、大小二つのミシンを使い分けます。

 

ミシン2

取っ手のようなこんなに分厚いものも豪快に縫っているのを初めて知ったときはびっくりしました。

 

ライター

ライター

縫ったあとの糸は、焼き溶かすことで糸始末をします。

 

彫刻刀

彫刻刀

彫刻刀で角をカットする箇所もあります。

 

ハンマー、トウフ、打ち棒

ハンマー、トウフ、打ち棒

カシメと呼ばれる金具でパーツを鞄本体にを取り付けます。取り付ける際は、トウフと呼んでいる直方体の金属の上でカシメに打ち棒をのせてハンマーで叩きます。

 

カシメ

カシメには小さいものと大きいものがあり、それぞれに数種類の長さがあり、使い分けています。

 

打ち棒1

分厚いヘルツの革に金具をしっかりと固定するために、かなりのパワーで打ち棒をハンマーでたたきます。工房から聞こえてくる音は、ミシンとこのハンマーを打つ音がメインかもしれません。

 

打ち棒2

打ち棒にも種類があります。カシメ用、ホック用、いろいろです。
ちなみに、ハンマーはこの他にも出番がたくさんあって、革同士を圧着したり、糸始末したところを平らにしたりと、頻繁に使用する道具です。

 

グローブ

グローブ

意外と頻繁に使用するのが滑り止めの付いたグローブ。
今回は鞄を袋状に縫ったあと、グローブをはめてひっくり返して成形します。
革の厚みや硬さによっては、結構握力を要します。
まんまるショルダーポシェット(CK-19)を初めて作ったとき、「このまま一生ひっくり返らないのでは……」と汗だくになりながら格闘していたのを覚えています。

 

完成!

完成!

以上、見てきた様々な道具たちを駆使して、BJ-68が完成しました。
いかがでしょうか。想像していたような道具でしたか?
今回ブログを書くにあたって、使っている道具をピックアップしながら製作してみると、無意識のうちに色々な道具を使っているなと感じました。

品番によっては今回登場していない道具もまだまだ使っています。
また機会があれば、紹介しようと思います。

ソフトダレスバッグ(BJ-68)の商品ページへ

 

長文にお付き合いくださり、ありがとうございました。
最後に、仙台店の工房の様子をちらっと。

仙台店の工房の様子をちらっと1

仙台店の工房の様子をちらっと2

仙台店の工房の様子をちらっと3

仙台店の工房の様子をちらっと4

それでは、次回のブログでまたお会いしましょう。

鞄作りの工程・HERZの道具について

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