いろいろ見比べた結果、「なんかいい！」という意見の元、昔からお世話になっている倉敷のメーカーさんにお願いすることに。
キャンバスを昔ながらの「帆布＝はんぷ」と呼ぶ職人さん方に、運よく直接お話を伺える機会にも恵まれました。
耳付き、が証
積みあがった帆布の山が出迎えてくれました-
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帆布というのは、細い糸を何本か撚り合わせて織ったものです。1本の糸で織った 「綿布（めんぷ）」よりも強度が増すんです。その強度を生かして、昔は工業製品としてトラックの幌やテント、登山用のリュックなどに使われていました。
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ちなみにヘルツさんが使っている帆布の糸は「コーマ糸」といって、繊維が長く、より強度がある高級品です！ 綿花のままの色（無染色）にパラフィン加工をしてあるので、使いはじめはかたいのが特徴です。
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私たちの帆布は、ヨコ糸を運ぶ「シャトル」がタテ糸を左右に通って織り上げるので、布の両幅がほつれません。これを耳付きと呼んでいます。 このシャトル織機で織る＝耳がついている、ということが特徴です。
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ヴィンテージ・ジーンズを作ったのと同じ機械でとても古いんですが、職人たちが日々調整しながら現役で活躍しているんですよ。 機械というより道具に近いかな。
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「なんかいい！」の正体＝風合いとはそれにかける時間だ！
タテ糸(ビーム)を巻き取るところ。どの工程を切り取っても熟練の作業。-
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うちのより新しい織機の帆布は見ましたか？ふさ耳ってやつ。 あれはね、よく言えばしなやか・・・なんだけど、なんだかぺたっとしてる。 帆布の良さ、風合いが無いんですよ。
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多分、風合いっていうのは、かける速度なんです。 ゆっくり織るほど、風合いが増すんだと思うんです。自分たちでも上手く説明できないんですけどね。
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新しい織機は、私たちが使うシャトル織機の5倍速く織れるんです。 ヨコ糸の動く幅が、糸一本通る隙間で済む。
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私たちの織機はシャトルを通すのにどうしても大きく タテ糸を開く必要があって、その分、糸が大きく動いてどうしても「うねり」が出てしまう。
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そのうねりが「風合い」ってことになるんじゃないかと。それしか考えられないんです。
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だから、時間がかかるほうが「風合い」がいい。 だから、一番は手織り。次に私たちのシャトル(織機)、最新織機、の順だと思ってます。
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うちらは、シャトル織機の「風合い」がある帆布のためにそれぞれの職人が全力を尽くす。それを、いいと言ってもらえる人に使ってほしい。 ただそれだけなんですよね。
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帆布は生き物なんです
工程によっては、少しの風も大敵で空調をつけられない過酷な環境も。-
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もともとの綿花自体も自然のものじゃないですか。なので、収穫する季節によって柔らかさや 繊維の質が違う。
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そのうえ、同じ機械で同じ職人さんが同じ色を織っても、毎日気温も湿度も違うから、 かたさや目の詰まり方、手触り・・・総合して、仕上がりが毎回違うんです！
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それに、温度と湿度にものすごく大きく影響を受ける。一度水分を吸って乾くと、反物で1m縮む なんて当たり前。糸も永遠に長いままじゃないから、結び目がどこかにある。 そういう、不均一な部分があるものなんです。帆布って。
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まさに、帆布は生き物なんです。
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その中でも、職人さんがその日の天候やちょっとした機械の調子を常に把握しながら、 なるべく均一な風合いに織り上げるという努力は常にしていますけどね。
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いいものを作りたいというまっすぐな言葉からにじみ出る信念と静かな熱を、
とても心地よく肌身に感じました。それは、糸の太さから撚る本数、経糸の巻取りから織りあげて検品に通すまで、
その作業ひとつひとつに込められた、職人さんの膨大な経験と卓越した技術に
裏打ちされた“品質”で達成されていることを物語っていました。
加えて、その風合いを「なんかいい」と嗅ぎ分けたヘルツのみんなにも感服したところなのでした。
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