実は、この第四弾の話が始まったのは約1年前。
第三弾と同じくHacoaさんと、HERZのスタッフからアイディアを募集し
今回は80ものアイディアの中から候補を選んでいきました。
メガネケースやコインケースなど定番のものから、バインダーやデスクトレーなどステーショナリー類
トイレットペーパーホルダーやブラシ・ちりとりセットなどの生活雑貨やアクセサリー、サンダル(!?)など様々なアイディアが集まりました。
沢山の中から何作る?
様々集まった皆のアイディア。さてさてここから実際にどれを作ろうか?
ざっくばらんに話しながら、Hacoa:松田さん(写真中央)とHERZ:根本(写真左)を中心に、「“木”と“革”それぞれが活きるもの」「実現可能なもの」を選定していきます。
根本曰く
「“木”と“革”性質が違うから、それぞれで出来ることって限られている。
良いアイディアだなって思った時にそれが実現できるかをお互いに考えるんだけど、お互いのギャップを埋める、擦り合わせるって作業が一番難しい。
でも四回目ともなると、お互いに出来ることや難しい事が解るようになっていて。
だから今回は、今までで一番スムーズに作るものを決めていくことが出来た気がするな。」
こんなに沢山の中から選ぶのはさぞ大変!と思っていた選定もわりとスムーズに決まっていった模様。
沢山の中からペン立て、コインケース、キーケースの3つが試作へとと進むことに。
フットワーク軽く、息の合った二人
サイズ感を決めてからは、それぞれが試作の日々。
お互いに作っては送り、作っては送りを繰り返し少しずつイメージを共有し形にしていきました。
そんなある日のミーティング風景。
試作品を手に何やら思案中。
よく見ると、根本の前にはハンマーや金具などの道具が並んでいます。
ミーティングに道具・・?
聞くと、その場で話しながら作ったり調整することも多かったそう。
「木はその場で加工することは難しいけど、革はいくらでも切ったり縫ったり留めたり、その場で作業が出来る。だから松田さんと話しながらその場で作っていっちゃうことも多かった!キーケースだったら、マグネットの留まり具合や鍵の收まる感じが重要だったから、蓋の長さを幾つか用意してその場で持ってきてもらった最新の木の試作パーツに留めて比べてみたり。ここをこうしたらというアイディアをすぐに試してお互いに意見していった。」
終始和やかな雰囲気で行われるミーティングは、お互いに物作りをしているせいか「こういうのはどう?」にすぐに反応し合える関係が作っているようでした。
「良いな」と思ったアイディアや「試してみようか」がすぐに出来る。
手作りしている場だから出来る“フットワークの軽さ”を感じる一コマでした。
作りの拘り
「今回のキーケースの一番のポイントは、何と言っても“ポチッと気持ちよく留まる事”と“サイズ感”!
この2点はすごく拘った部分だし、とても苦戦した部分でもある。」
「特にマグネットは中々気持ちよく留まらなくて、、。
革を木のパーツに差し込む時にどうしても革の角度と木の角度が噛み合わなくて
お互いに何個も試作した。
そんな時に松田さんが持ってきてくれたのがこれ!。」
「なんとこれ、マグネットを斜めに埋め込んでる!
こうすると革の入る角度とうまく噛み合うようになって、留まりもぐっと良くなった!
僕はこれを見た時の衝撃が、まだ忘れられない、、。」
「このマグネットの斜め具合に合わせて形状も変わっていった。」
「最終的にはかなりなめらかなカーブに仕上がってる。」
ポチッと気持ちよく留めるために、ハコアさんでは0.1mm単位でこの部分を調整し本当に沢山の試作をしたそうです。滑らかなカーブに削るのは、四角く削るよりも何倍も手間と時間がかかる作業。ハコアさんの“ものづくり”を強く感じられる部分です。
そしてサイズ感。
「出来る限りコンパクトに。でも鍵がしっかりと入るサイズ感というバランスが難しかった。
左が試作していた時のもので、携帯するという意味でスリムなのは良かったけど鍵の収まりがよくなかった。マグネットとの兼ね合いもあったから何度も蓋の長さを調整したよ。」
数ミリ変えてはバランスと留め具合を確認して、の繰り返しだったようです。
最終的には、しっかり鍵が収まり且つスリムなサイズ感で仕上がりました。
振り返ってみて
「木と革、素材は違うけど、ものづくりの部分で共通する部分はすごく大きいと思う。
僕自身がハコアの松田さんと組んだのは二回目だったけど
お互いに思っているアイディアが言葉だけでもスッと入ってくる分かり合える部分がすごくあった。」
「そのやり取りがすごく楽しかったし、そうやって少しでも良い物に
自分たちの思ってる形に近づけていくことが出来た。
今回のキーケースは細かい部分で沢山の調整が必要だったけど、その苦戦ややり取りがすごく楽しかった。」
今回ハコアの松田さんにもお話を聞く機会があったのですが、二人が共通して言っていたのが
「とにかくやり取りが楽しくて、濃い時間だった!」ということ。
それが今回のキーケースを作ったようです。